デザインの基礎を学びたくて「誰のためのデザイン?」を読んだ - その1 -
誰のためのデザイン?を読みました
誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論
- 作者: D. A.ノーマン,岡本明,安村通晃,伊賀聡一郎,野島久雄
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2015/04/23
- メディア: 単行本
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デザインについて体系的に勉強したことがなかったので、最初の一冊としてこの本を読みました。
デザインも考えれるようになりたくて、「誰のためのデザイン?」読んでる!
— Toshihisa Tomatsu (@toshi__toma) 2018年9月2日
まだまだデザインについて理解できてませんが、この本を読んでデザインの基礎っぽいのを少しだけ知ることができました。 読んだ感想やメモなどを書いておきます。
本の目次
- 第1章 毎日使う道具の精神病理学 誰のためのデザイン?
- 第2章 日常場面における行為の心理学 誰のためのデザイン?
- 第3章 頭の中の知識と外界にある知識
- 第4章 何をするかを知る - 制約、発券可能性、フィードバック
- 第5章 ヒューマンエラー? いや、デザインが悪い
- 第6章 デザイン思考
- 第7章 ビジネス世界におけるデザイン
毎日使う道具の精神病理学
良いデザインの特性として、「どういう行動が可能か?」が分かる発見可能性
や「それがいったい何を意味しているのか」「どんな使われ方が想定されているのか」を理解
できることが書かれてました。
「人間中心デザイン」: 人間のニーズ、行動、能力に合わせてデザインする
この人間中心デザインが本の中で何度も出てきました。 「デザインは技術的な要求ではなく、人間に重点を置く。システムにおいて、人間が悪いことはなく、デザインが悪い」という言葉が印象に残っています。
発見可能性を得るための心理学的概念として紹介されていたもの
- アフォーダンス
- シグニファイア
- 制約
- 対応づけ
- フィードバック
概念モデル
- 概念モデルは経験によって構築される
- 理解を助けたり、モノの動きを予想したり、モノが予定通りに動かない場合にどうすればいいかを知るのに役立つ
ユーザーにどんな流れで伝わるのか
- デザイナーの持つ概念モデル
デザイナーの持つ製品の見かけ、感じ、操作について - システムイメージ
構築された物理的な構造から知覚されうるもの - ユーザーの持つ概念モデル
製品やシステムイメージとのインタラクションによって作られる
デザイナーはユーザーのモデルが自分たちの持つモデルと同一であってほしいと考えるが、ユーザーはデザイナーとコミュニケーションができないので、システムイメージにかかっている。
日常場面における行為の心理学
この本を読んで、普段の日常にあるモノがどんな風にデザインされているのかを気にするようになりました。
誰のためのデザイン?の中で大事な要素として『フィードバック』が出てきて、大切大切って思った。
— Toshihisa Tomatsu (@toshi__toma) 2018年9月2日
そういえば部屋のエアコン操作したら、「温度を〇〇に設定しました」って毎回言わなくていいのにって思ってたけど、フィードバックくれてたのね。ごめんなさい🙏
人はものごとを行うときには2つのへだたりがある
- それをどう動かせばよいのかを
理解
しようとする実行におけるへだたり - 何が起きたのかを理解しようとする
評価
におけるへだたり
実行におけるへだたりを助けるデザイン要素
- シグニファイア
- 制約
- 対応づけ
- 概念モデル
評価におけるへだたりを助けるデザイン要素
- フィードバック(行為の結果とサービスの現在の状態についての完全かつ継続的な情報)
- 良い概念モデル
人は自分の経験から概念モデルを形成する。そのモデルでモノを見るので、予想と違う場合に使いづらいものになる
「人はある結果を期待して何かを行なったのに、何も有益なフィードバックがないのは、自分が正しく操作しなかったからと推測しがち。」
これはよく見かけたり、自分もしがちです。それによって何故か無意味な操作を連続してしまう。
システムは結果についてのタイムリーで有意義なフィードバックを与えるべきです。
あと、紹介されていたのは学習された無力感
です。
これは、「ある作業で何度も失敗の経験を繰り返すような状況のこと」を指しています。
学習された無力感によって、その作業は自分にはできないと思い込む。そして試みることをやめる。
それによって、 テクノロジー嫌いや数学嫌いが普段の生活でもよく起きていると思います。
システムにおいては、人ではなくデザインが悪いはずなので、人は誤るということを踏まえてデザインするべきです。(ヒューマンエラーという用語は使わない)
人は正確な作業は得意ではないのに、フォームをしっかり、正しい内容で入力させようとするシステムが多いのは分かりやすい例ですね。
頭の中の知識と外界にある知識
人は頭の中の知識と外界にある知識を組み合わせて、毎日をなんとかうまくこなしている(どちらか1つでは不十分)。
例として、「人は硬貨のデザインを覚えていなくても、硬貨を選んで使える」というものが紹介されていて、確かに!と思いました。
また、そこには高い正確性は必要ありません。 頭の中と外界との一体となった知識が、適切なものとそれ以外のすべてのものを区別するのに十分であれば、行動は完璧になります。
「人は学ばなければならないことの量を最小化し、学びの完全さ、精度、深さも最小化できる」
デザインに充分な手がかり(外界)を置いておくことで、事前の知識がなくても高いパフォーマンスが得られるようにすることがポイントのようです。
外界からの知識を手に入れる要素
- シグニファイア
- 物理的制約
- 自然な対応づけ
制約は記憶を単純化する。
つまり、制約(物理的、文化的)によって、ありえる選択肢が限りなく少なくなるので、記憶する負荷をへらす事ができます。
人間の短期記憶と長期記憶についても紹介されていました。
「短期記憶に保持されているものに多くを頼ってはいけない。エラーでメッセージで重要なことを伝えても、それを利用してする時には忘れている。」 「情報を長期記憶にしてしまいこむには時間がかかり、それを再び取り出すにも時間と手間がかかる」
章の最後に紹介されていたのは自然な対応付け
です。
「間違ったコンロのバーナーを付けたり消したりしたことはよくある」これは自然な対応付けがとれていない例です。
適切で自然な対応づけは、図もラベルも必要ないようです。
あと注意したいのは、「自然な対応づけは文化によって変わる」ことです。
例で紹介されていたのは、スライドを操作する上下ボタンは、どっちが進むか?について。時間をどう捉えるかは文化によって違うので、人によって意見は割れるようです。
最後に
誰のためのデザイン?を読んだ感想やメモなどを書きました。
今回は1章〜3章についてです。4章〜7章については以下の記事で紹介します。