デザインの基礎を学びたくて「誰のためのデザイン?」を読んだ - その2 -
誰のためのデザイン?を読みました その2
誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論
- 作者: D. A.ノーマン,岡本明,安村通晃,伊賀聡一郎,野島久雄
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2015/04/23
- メディア: 単行本
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デザインの基礎を学びたくて「誰のためのデザイン?」を読んだ - その1 - toshi-toma.hatenablog.com
の続きです。
- 誰のためのデザイン?を読みました その2
- 本の目次
- 何をするかを知る - 制約、発券可能性、フィードバック
- ヒューマンエラー? いや、デザインが悪い
- デザイン思考
- ビジネス世界におけるデザイン
- 最後に
本の目次
- 第1章 毎日使う道具の精神病理学 誰のためのデザイン?
- 第2章 日常場面における行為の心理学 誰のためのデザイン?
- 第3章 頭の中の知識と外界にある知識
- 第4章 何をするかを知る - 制約、発券可能性、フィードバック
- 第5章 ヒューマンエラー? いや、デザインが悪い
- 第6章 デザイン思考
- 第7章 ビジネス世界におけるデザイン
何をするかを知る - 制約、発券可能性、フィードバック
「人は初めて触れるものに直面した時に、何をすべきかをどうやって知っているか?」について書かれていました。
人が何かを操作する時、いくつかの制約があり、それらを考えてデザインする必要があります。
- 物理的な制約(可能な操作の幅を狭められる)
- 文化的な制約(ある社会的状況で許容される)
- 意味的な制約(その状況が意味するところに応じて何ができるかを制御する)
- 論理的な制約
また、望ましい振る舞いを強制する制約も紹介されていました。
- 強制選択機能(ある場面で失敗すれば、それ以降のステップが実行されないように、行動を制約されるようか状況)
- インターロック( 操作が適切な順序で行われることを強制する仕組み)
- ロックイン(ある操作を起動させたままにしておき、誰かがそれをよく考えずに止てしまうことを防止する仕組み)
- 例えば、操作中のアプリケーションを終了する時に出るダイアログ
- ロックアウト(誰かが危険なところに立ち入ったり、なにかが生じたりするのを防止する)
「説明書を出すより、デザインを改善することで説明が不要にするべき」という言葉があり、確かにそうだな。と改めて思いました。
ヒューマンエラー? いや、デザインが悪い
産業事故の75%から95%がヒューマンエラーと推定されるが、人間が悪いのではなく、デザインが悪い。
「ヒューマンエラーと言われるエラーはなぜ起こるのか」を考えるべきだと紹介されていました。
- ほとんどの事故の原因は1つではない
- なぜなぜ分析でほんとう原因に辿り着く
- 原因調査ではヒューマンエラーを発見した際に、そこで止めることが多い。そこからが大切。
再発防止でデザインをし直す必要もあります。
またエラーの原因をいくつかに分類して紹介されていました。
- スリップ
ゴールは正しいが必要な行為が適切に行われない、実行に欠陥があるときに起こる- スリップの分類
- 行為ベースのスリップ
- 行為は正しいが適応する対象が間違っているなど
- 記憶ラプスのスリップ
- 行為を忘れてしまったなど
- 行為ベースのスリップ
- スリップの分類
スリップはタスクに対する注意が欠如することで起こりやすいから、初心者よりも熟練者に多く起こりやすい
ミステーク
ゴールかプランが間違っている時に起こる- ミステークの分類
- ルールベース
- 適切に状況を見ているが、誤った行為を選択する
- 知識ベース
- 誤った知識や不完全な知識によって問題を間違って捉える
- 記憶ラプス
- ゴール、プラン、あるいは評価の段階で忘却が起きる
- ルールベース
- ミステークの分類
- ミステークは、人間の考えの気まぐれさから生じることが多い
「エラーに備えてデザインする」についても言及されていました。
- エラーの原因を理解し、その原因が最も少なくなるようにデザインする
- 行為を元に戻すことができるようにする。すなわち、アンドゥーできなくてはならない。そうできないなら、元に戻せない操作はやりにくくする
- 生じたエラーを発見しやすくする。また、それを訂正しやすくする
- どのような行為もエラーとして扱わない。むしろ、人が正しく行為を完了できるように助ける。その行為を目的に近いものとして捉える
多くのシステムで使われる、確認を求めることでエラーを防止する「確認ダイアログ」について気を付けるポイントがあります。
- 人は操作を要求した後では、それは自分がやってほしいことだと思い込んでいる
- 確認のための要求は安全のためのチェックではなく、イライラさせるものになっている
- 人は行為の対象よりも、行為そのものに注目しがち
- よりよりチェック方法は、キャンセルや実行の選択肢とともに、行うべき行為とオブジェクトをはっきり表示すること
対象となっているものをより目立たせるデザインにする。
デザイン思考
「解決するように求められている問題は常に、実際の問題でも基本的問題でも根本的問題でもない。それは症状。」 と書かれていました。
良いデザイナーは、提示された問題をそのまま解こうとはしないようです。
「技術者とビジネスの人々は問題を解決するよう訓練を受けている」 「 デザイナーは本当の問題を発見するよう訓練を受けている」
良いデザイナーは与えられた問題を解こうとせず、本当の課題は何かを理解しようとすることから始めるようです。
この章で紹介されていたデザイン思考は
- 元の問題を、最終的なものとしてではなく提案として受け止める
- この問題の記述に横たわる課題が本当は何であるかを幅広く考える
- 問題が定まっても、解決しようとせず、立ち止まって広い範囲から可能な答えを探す
このプロセスには反復性、拡張性がある
といったものです。
また、デザイン思考の強力な道具として人間中心デザイン
とデザインのダブルダイヤモンド発散・収束モデル
が紹介されていました。
人間中心デザインプロセスは、観察、創出、プロトタイピング、テストの四つの段階を繰り返します。
デザインのダブルダイヤモンド発散・収束モデルは、「正しい問題を見つけるための発散と収束のフェーズとして提案・定義」「 正しい解決策を見つける発散と収束のフェーズとして展開と提供」の4つのフェーズを行います。
「デザイナーは多くの分野で働くことが可能」と書かれていて、人のためのデザインの基本原則は、全ての分野を通じて皆同じようです。
ビジネス世界におけるデザイン
現実では製品デザインに厳しい制約(コスト、スケジュールなど)を課してきます。 また、常に市場には競争圧力があります。
他のメーカーとの競争で重要なものとして以下が書かれていました。
- 価格
- 機能
- 品質
☆ スピードは常に重要
また、競争圧力に関連して、機能症についても書かれていました。
- なしくずしの機能追加主義
- ユーザーは製品を気に入っていても、より多くの特徴や機能、性能を求める
- 競合が機能を追加するので、競争圧力が生まれる
- 売上のためにアップグレードしたくなるようにしむけれる機能を追加する
デザインの成功とは
- 人々が購入し、利用し、その結果、うわさが広がった時
- どんなにデザインチームが素晴らしいと考えても、買ってもらえないデザインは失敗
テクノロジーは変化の強力な駆動力です。ただ、 「テクノロジーはものごとのやり方を変えるが、我々の基本的なニーズは変わらない」とも書かれていました。
大きな変化があっても、多くのデザインの基本原則は同じままのようです。
最後に
- 誰のためのデザイン?を読みました その2
- 本の目次
- 何をするかを知る - 制約、発券可能性、フィードバック
- ヒューマンエラー? いや、デザインが悪い
- デザイン思考
- ビジネス世界におけるデザイン
- 最後に
デザインの基礎を学びたくて「誰のためのデザイン?」を読んだ - その1 - toshi-toma.hatenablog.com
2回に分けて、「誰のためのデザイン?」を読んでの感想やメモを書いてみました。
最初は全く分からなかったデザインの話も、この本を読んでほんの少しだけ知ることができました。
今後も継続して勉強していきたいと思います。